事実とは反することを仮定するときに使うのが仮定法。でも実現する可能性がある未来のことでも使えます。
日本語の感覚とズレているし、あやしい情報もあふれているのでホントに超ややこしい!
英語名称や 4 Conditionals の分類で、直説法とあわせて整理すると分かりやすくなります♡
- Table of contents -
1. 『仮定法』ってなに?
英語の subjunctive mood: 仮定法 は
were や be、三単現の s がつかない動詞(形的には原形と同じ)のこと。
フランス語などで『接続法』と呼ばれているものに近く、特に仮定の意味があるわけではありません。
- If it were not ← was の代わりに were になる
- He wishes he were ← was の代わりに were になる
- It is important that he tell the truth ← tells の代わりに tell を使う
- I suggest that you be there ← are の代わりに be を使う
仮定法現在は英語の仮定法に近いと思います。
でも、日本での一般的な『仮定法』は、if や wish を使って現実とは違うことを仮定する構文(英語の unreal/hypothetical conditional)のこと。
こちらは、動詞の時制を一つ過去にずらして(backshift)仮定を表す手法だと考えると分かりやすいと思います。
- 現実に反すること(仮定法過去、仮定法過去完了)
- 実現する可能性が低いこと(仮定法過去)
If I was/were you, I wouldn’t do such a dumb thing.(仮定法過去)
僕だったら、そんなおバカなことしないよ。(君じゃない)
* 会話では was の方が自然。でも was になった場合、英語では subjunctive ではなくて indicative(直説法)。
If I had been you, I wouldn’t have done that. (仮定法過去完了)
僕だったら、そんなことはしなかっただろうに。(君じゃなかった)
If you became invisible, what would you do?(仮定法過去)
透明人間になったらどうする?(ならないと思うけど)
話し手が『実現する可能性ありあり!』だと思っていたら if 節の動詞は現在形。
If you become invisible, what will/would you do?(直説法)
透明人間になったらどうする?(なるかも!!)
* この場合 what would you do? の方が自然。
上の2つの例文は、日本語が全く同じだったりするのがこれまた厄介 *-*
2. if節は直説法と仮定法の2種類
『もし〜なら』と、条件を表す副詞節のことを条件節といいます。if節は条件節の代表的なもの。
if節には、直説法と仮定法があります。
- 直説法: 起こる確率が結構ある 〜 100%(と話し手が思っているもの)
- 仮定法: 起こる確率がかなり低い 〜 0%(と話し手が思っているもの)
3. 仮定するのは if節
仮定法の基本形は
if節(条件節)+ 主節(帰結節)
仮定をするのは条件節 = if節の中です。主節ではありません。
- If I was/were(仮定法過去)
- If I had been(仮定法過去完了)
if 節で仮定するとたいてい主節の内容も現実に反することになりますが ↓
If I was/were a kitten, I would be the cutest one ever.
もし私が子猫だったら、最高に可愛いのになる〜。(猫じゃない + 最高に可愛くなってない)
反しないときもあります ↓
If I ever won a million dollars, I wouldn’t say anything.
万が一100万ドル当たったとしたら、一言も言わないだろうな。(当たってない + 言わない)
4. 仮定法過去 & 仮定法過去完了の名前の由来
『仮定法過去』と『仮定法過去完了』は、if節の動詞の時制に由来しています。
結果、めっちゃ分かりにくいネーミングに ↓
- 仮定法過去 → 現在や未来のこと
- 仮定法過去完了 → 過去のこと
ちなみに英語はめっちゃわかりやすい ↓
- Present/Future Unreal Conditional: 仮定法過去
- Past Unreal Conditional: 仮定法過去完了
5. 4 Conditionals(条件節)
Conditionals(条件節)の 4 パターンは、すごく分かりやすい!
0 と 1 が直説法、2 と 3 が仮定法です。
0 Conditional(直説法)
別名 Present Real Conditional(現在の事実の条件節)
when との置き換えが可能で、『ごく普通に起こること』に使います。
if/when + 現在形, S + 現在形
If/When you eat less, you lose weight.
食べる量を減らしたら、痩せる。
S + 現在形 + if/when + 現在形
Just text me if/when you want to come over for dinner.
ディナーに来たかったら、テキストメッセージ送って。
* 話し手が考える『コトが起こる確率』は、if の方が若干低くなります。
1st Conditional(直説法)
別名 Future Real Conditional(未来の事実の条件節)
『現実に起こる可能性が十分にある!』ときに使うのがコレ。話し手の主観によります。感覚的には 5 分 5 分。
if + 現在形, S will/would + 動詞の原形
If the rumor is true, I will be devastated.
もしウワサがホントなら、私めっちゃボロボロになるわあ。
S will + 動詞の原形 + if + 現在形
I will ask her name if I see her tomorrow!
明日もし彼女に会ったら、名前を聞くんだ!
* will 以外に be going to, might, can, should なども使えます。
2nd Conditional(仮定法過去)
別名 Present/Future Unreal Conditional(現在/未来の仮定の条件節)
『現在の事実に反すること、ありそうにない未来を仮定して話すとき』に使います。
if S + 過去形, S would + 動詞の原形
If I won the lottery, I would travel the world.
もし宝くじに当たったら、世界を旅するんだけどな。(たぶん当たらない)
S + would + 動詞の原形 + if + S + 過去形
I wouldn’t be here right now if it wasn’t for you.
君の助けがなかったら、今の僕はなかったよ。(助けてもらった)
* would 以外の助動詞は could, might など。
3rd Conditional(仮定法過去完了)
別名 Past Unreal Conditional(過去の仮定の条件節)
『過去の事実に反することを仮定して話す時』に使います。
もう終わってることなのでこちらは確率 0 。
if S had + 過去分詞, S would have + 過去分詞
if she had worn her hair up, the dress would have looked better.
もし彼女が髪をアップにしてたら、ドレスはもっと素敵に見えてたんじゃないかしら。(アップにしてなかった)
S would have + 過去分詞 if S had + 過去分詞
I would have missed the all fun tonight if I had gone to bed early.
もし早く寝てたら、今夜の楽しいこと全部逃しちゃってたよ。(早く寝てなかった)
* would 以外に使える助動詞は、 could, should, might など。
6. wish の仮定法過去
if を使う構文以外に、wish + SV の V(動詞)も仮定法になります。カンタン!
wish を使う仮定法過去では、現在の事実に反すること、ありそうにない未来を『〜だったらいいんだけどなあ』と仮定します。
S wish S was/were
I wish I was/were half as cool as you.
あいつの半分でもかっこよかったらいいのになー。(かっこよくない)
* 口語では was を使います。
S wish + S would + 動詞の原形
I wish I would be the one to make you happy.
僕が君をハッピーにできたらいいのに。(できない)
* would 以外の助動詞は could, might など。
7. wish の仮定法過去完了
wish を使う仮定法過去完了では 過去の事実に反することを『〜だったらよかったんだけどなあ』と仮定します。
S wish S had + 過去分詞
I wish I had worn some makeup today!
今日、メイクしてればよかった!(してなかった)
S wish + S + would + have + 過去分詞
I wish I would have met my wife earlier.
君にもっと早く出会えてたらよかったのに。(会えてなかった)
* would 以外の助動詞は could, might など。
8. 仮定法未来はホントは『仮定法過去』
日本でよく『仮定法未来』とされている、 if 節に were to や should を使う構文ですが、これらは『仮定法過去』です。
だって、were to も should も過去形ですよね。2nd Conditional です。
if S + should + 動詞の原形, S + would + 動詞の原形
If I should lose my job, I would be so screwed.
もし万が一仕事を失ったりしたら、めっちゃ困る。
if + S + were to + 動詞の原形, S + would + 動詞の原形
If I were to lose my job, I would be so screwed.
もし仕事を失うようなことが起こりうるとしたら、めっちゃ困る。
should は可能性が極めて低いけど起こりえること、
were to は絶対起こらないコトや起こって欲しくないコトから起こる確率があることにも使います。
ちょっと文語的な表現なので、会話では以下のような、ごく普通の 2nd Conditional の形で使います。
If I lost my job, I would be so screwed.
もし仕事を失ったら、めっちゃ困る。
9. ちょっと古い、仮定法現在
別名 present subjunctive(現在の仮定法)
仮定法現在では be や 動詞の原形を使います。だから、三人称単数の s がつきません。
英語の subjunctive mood: 仮定法 に最も近いのがコレ。
古い表現なので、現在では定型句や特定の構文で名残が見られる程度です。テストには出るけど。
定型句(set phrases)
- God bless you.(≠ blesses)← 『神の御加護がありますように。』
- God Save the Queen(≠ saves)← イギリスの国歌
- May the force be with you.(≠ is)← スターウォーズ
It is 形容詞 that S + 動詞の原形
It’s essential that everyone stay home.(≠ stays)
みんなが外出を自粛することは、必要不可欠。
* a good idea, crucial, important, necessary, vital などの単語でも同じです。
ただ、三単現の s がないと変な感じがするので、現代では should + 動詞の原形にすることがほとんど。
It’s essential that everyone should stay home.
命令・要求・提案を表す動詞 + that S + 動詞の原形
Doctor suggested her that she lose some weight.(≠ loses)
お医者さんは彼女に体重を減らすように提案した。
* advise, demand, insist, propose, recommend, suggest などの単語でも同じです。
こちらも三単現の s がないと変な感じがするので、現代では普通 should + 動詞の原形にします。
Doctor suggested her that she should lose some weight.
10. if S would, S would の構文
if S would + 動詞の原形, S would + 動詞の原形
ちょっとイレギュラーな形ですが、口語ではよく使われる表現です。
If I could have a superpower, it would be the ability to save the world.
もし僕がスーパーパワーを1つ持てるとしたら、世界を救う能力。
could でも ↓
I would be grateful if any readers could tell me more.
読者がもっと、意見を言ってくれたら嬉しい。
11. エコ発音で覚える
構文を覚える時は、できるだけ発音を省略した形で覚えるとラク!
特に過去完了は長いので、略して覚えて。
- had → ‘d ドゥ
- would → ‘d ドゥ
- would have → would’ve うドゥヴ→ woulda うダ → ‘da ダ
- could have → could’ve クドゥヴ→ coulda クダ
- might have → might’ve マイダヴ → mighta マイダ
- should have → shoud’ve シュドゥヴ→ shoulda シュダ
英語の純粋な subjunctive mood は消えつつあると言われています♡
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